3Dプリンターの基礎(第2回 施設での利用・購入検討者向け、3Dプリンターの実際)

第1回に続いて2回目です。基礎知識より少し深く踏み込んだ内容を書いていこうと思います。

3Dプリンターへの期待と現実

3Dプリンターは個人レベルのものづくりを大きく飛躍させるポテンシャルを秘めています。様々な可能性の実現に貢献することが出来るでしょう。 しかしながらそうした夢のような期待の一方で、望ましくない現実というものも寄り添ってきます。3Dプリンターはとても優れた機械ですが、その難点も把握しておきましょう。

3Dプリンター(FDM)が出来ないこと

特にFMD方式の3Dプリンターが出来ない事があります。それはテーブルを「脚を下にして」プリントすることです。どういうことかを説明します。 FDM方式は樹脂を層状に重ねていって造形します。立体を作るためには1層目の樹脂がプラットフォーム(床面)に接地していないといけません。その上に2層目、3層目…と重ねて高さを作ります。 [caption id="attachment_1061" align="alignnone" width="1200"] 左が上手くプリントできない形。右がプリントしやすい形。[/caption]   脚を下にしたテーブルは、私たちが最も馴染みのあるテーブルの状態です。しかしながらこの状態でプリントすると、きれいにプリントできるのは脚だけです。ノズルがテーブルの板面に移ると、その下には層が無いので空中に樹脂を垂らすことになってしまうのです。 ということでテーブルをプリントしたいときは板面をプラットフォームに接地し、脚を上向きにしなくてはいけないのです。3Dプリンターにはこうした都合があります。CAD上で設計するときにもこれは念頭に入れる必要があるので、前提として知っておくと良いでしょう。

3Dプリンターが失敗すること

3Dプリンターは時々失敗する事があります。そのパターンは状況によって様々ですが、私たちをもっとも悩ませた失敗は「反り」です。 実は3Dプリンターの造形物はたまに接地面の端から反り上がってくることがあります。造形物の形やプラットフォームの状態など、原因も何種類かあるようです。3Dプリンターを使っていると、こういった問題にも頭を悩まされることがあるでしょう。

持続的に精度を保つためのメンテナンス

3Dプリンターをたくさん使用すればそれだけ問題が発生してきます。3Dプリンターのポテンシャルを発揮する為にはメンテナンスが必要です。 3Dプリンターを使用するにあたっては、度々発生する問題を可能な限り自分で解消する覚悟が必要です。ノズル周りの詰まり、配線の接触不良。キャリブレーション…。 とても面倒なのですが臆せずトラブルシューティングに挑み、3Dプリンターを深く知っていくことが重要です。最初は頭を抱えるかもしれませんが、やがてフィラメントを引き込む機構が理解できますし、回路図を知らなくてもどの線が温度センサーを司り、どの線がモーターの電源なのかをも理解できます。 また症状を見ただけで不良箇所の見当がつくようにもなるでしょう。あるいは問題に対するオリジナルの対処法を思いつくかもしれません。ともかく3Dプリンターはその精密さ故にトラブルがつきものなのだと思っておくことです。 使う前に知っておいたほうが良いこととしては、もう既に十分すぎるほどかと思いますが、次回最後にもう1回、3Dプリンターに関する役立つ(かも知れない)話を書いて終わりにしようと思います。]]>

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