OctoverseとSlashDataから読み解く開発者の今

ソフトウェアが世界を飲み込むといわれたのが2011年のことですが、実際に世界中の様々なサービスがIT化され、広がりを見せています。タクシーはUberによってスマートフォンを用いたサービスへと変貌し、スマートフォンでさえハードウェアの性能よりも、中で動くアプリが重視されています。それらを作り上げるのは開発者の力になります。

そんな開発者が今、どんなことに注目し、どんな取り組みを行っているのか理解したいと思わないでしょうか。世界中のとランドを知ることで、次の一手を学んだり、自分が歩むべき道筋が見えてきます。そういったレポーティングは幾つかありますが、今回はOctoverseとSlashDataに注目して紹介します。

Octoverseとは?

OctoverseはGitHubが提供している年次レポートになります。4000万人というGitHubユーザがその一年間でどんな開発を行ってきたのかに注目してレポーティングしています。実際のコードを伴ったレポートになりますので、実績のあるトレンドの変化を感じ取れるでしょう。

Octoverse 2019年次レポート – GitHubブログ

SlashDataとは?

SlashDataは150カ国、4万人を超えるエンジニアからアンケートを集めてレポートを作成しています。母数こそGitHubには劣りますが、アンケートを通して、現状だけでなく今後開発者が注目する技術などを垣間見ることができます。

SlashData – the leading analyst in the developer economy.

US以外では中国、インドでオープンソースが活用されている

Octoverseによると、USを除くとオープンソース・ソフトウェアを利用する国のトップ5は次の通りです。

  1. 中国
  2. インド
  3. ドイツ
  4. イギリス
  5. 日本

オープンソースへの参加者(コントリビューター)は日本が第3位の伸びです。アジア圏の伸びが顕著です。

  1. 香港
  2. シンガポール
  3. 日本
  4. 韓国
  5. オランダ

ライブラリはNode.jsプロジェクトが最も強い

各プログラミング言語のライブラリ管理ではNode.jsのnpmプロジェクトが最も大きいようです。ただしPythonやRubyも負けていません。

プログラミング言語 ライブラリ管理 プロジェクト数 平均的開発参加者数
JavaScript npm 3,500,000 35
Ruby Rubygems 737,000 146
Java Maven 167,000 99
C# NuGet 94,000 109
Python pip 78,000 204

最も注目されているプロジェクトはTensorFlow

TensorFlowはGoogleがメインで開発を行っている機械学習ライブラリです。2019年を振り返るに、TensorFlowが最も注目されるプロジェクトとされています。

開発参加者の多いプロジェクトはVisual Studio Code

GitHubのリポジトリを開発参加者数(コントリビュータ)順に見ると、Visual Studio Codeが最も多いそうです。

ソフトウェア名 コントリビュータ数
microsoft/vscode: Visual Studio Code 191,000
MicrosoftDocs/azure-docs 14,000
flutter/flutter: Flutter makes it easy and fast to build beautiful mobile apps. 13,000
firstcontributions/first-contributions: 🚀✨ Help beginners to contribute to open source projects 116,000
tensorflow/tensorflow: An Open Source Machine Learning Framework for Everyone 99,000

人気のプログラミング言語はJavaScript

JavaScriptは2014年からずっと1位の座を維持しています。徐々にPythonが伸びているようです。

via The State of the Octoverse | The State of the Octoverse celebrates a year of building across teams, time zones, and millions of merged pull requests.

最近伸びている言語としてはDartになります。

プログラミング言語 伸び
Dart 532%
Rust 235%
HCL 213%
Kotlin 182%
TypeScript 161%

分野としての注目はデータ分析

ソフトウェアではなく、分野としてはデータ分析が最も注目されている分野とのことです。解析の基本的ライブラリであるnumpyやscipyなどをはじめ、scikit-learnやTensorFlowなどはPythonで作られています。その意味において、Pythonは見逃せないプログラミング言語になるでしょう。

Webアプリ、SaaSの開発者成熟度は高い

WebアプリとSaaS、デスクトップアプリ、バックエンドサービス、AR、VR、ゲームの各分野で開発者がどういった属性かを調べたデータです。ビジネス、遊び、クリエイティブ、内向的といったカテゴリに分けて、自分がどの分野に属しているかを答えています。

via STATE OF THE DEVELOPER NATION 17TH EDITION

ゲームは仕事で取り組んでいるというよりも遊びで使っている人の方が割合として多くなっています。AR、VRも他の分野に比べると遊びという割合が多めです。

フルスタックエンジニアは30台後半から50台前半に多い

グラフからは遊びで使っているゲーマーは年齢が進むにつれて割合が低下しています。スペシャリストは35〜44歳が最も多く、その後低下しています。フルスタックエンジニアは35〜54歳に割合が多く、その後低下する傾向があるようです。コードを読む(自分で書かない)人の割合は年齢と共に増えています。

via STATE OF THE DEVELOPER NATION 17TH EDITION

開発者の興味はミニアプリ、DevOpsへ

約半年前と比較して、開発者の興味がどう動いているのかを示しています。横軸は実際に使っている割合、縦軸は興味を持っているかどうかです。例えばドローンについては、興味を持っている人が少し増えたものの実開発に携わる人は減ったようです。DevOpsは両方の割合が増えています。

via STATE OF THE DEVELOPER NATION 17TH EDITION

暗号化通貨は実際に使っている人は少し増え、興味がある人は急激に増えています。ミニアプリというのはアプリの中で動くアプリで、たとえばWeChat上で動くアプリやチャットボットです。アプリ市場が一巡し、次のアプリの中でユーザ数の多いものが、アプリ内アプリの仕組みを提供するようになっています。

アジアで注目されるのはメッセージプラットフォーム

アジア圏で注目されているサードパーティープラットフォームはメッセージ、チャットボット、CRM、スマートホーム、ERPとなっています。やはりWeChatの影響を強く受けていると想定されます。

via STATE OF THE DEVELOPER NATION 17TH EDITION

まとめ

2019年の動向、アンケートを見る限り機械学習への注目度は高いようです。実際に使われはじめている技術としてはDevOpsになるでしょう。これからプログラミング学習をはじめたい、はじめたという方はこれらの技術にフォーカスすることで突然廃れたりすることなく、安心して学べるのではないでしょうか。

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