『みんなのM5Stack入門』の紹介(下島健彦)

(ツクレル編集部より)著者による著書紹介、略して「著著紹介(ちょちょしょうかい)」のコーナーです。今回は『みんなのM5Stack入門』の著者である下島健彦さんに、ご自身の著書を紹介していただきます。

みんなのM5Stack入門

みんなのM5Stack入門

IoTシステムは、モノの状態を調べたり制御したりするIoT端末と、クラウドにあるデータ収集・分析・制御サービス、それをつなぐネットワークから構成されます。

IoTシステム

IoT端末もクラウド側のIoT向けサービスもネットワークも、安価になり、簡単に使えるようになった結果、ITの専門家でなくても、少し勉強すれば簡単なIoTシステムが作れるようになりました。安価で簡単なIoT端末の代表格がArduino(アルドゥイーノ)とラズベリーパイというコンピュータです。Arduinoはマイコン端末とプログラム開発環境からなるシステムです。オープンソースハードウェアという考えに基づいて、ハードウェアの設計情報が公開されていて、Arduinoプログラム開発環境で作ったプログラムが動作するAarduino対応のマイコン端末はさまざまなメーカーが開発しています。

M5Stack(エム・ファイブ・スタック)はM5Stack社で開発、販売されているマイコン端末です。Arduinoプログラム開発環境と、マイコン向けのPython言語であるMicroPython、ブロックを組み合わせて簡単にプログラムが作れるUI Flowという3つの方法でプログラムが作れます。M5Stack社はM5Stack以外にもM5StickC、ATOMというマイコン端末と、さまざまなセンサなどのモジュールを開発、販売しています。

M5Stackシリーズ

「みんなのM5Stack入門」は、M5Stack/M5StickCとセンサを使ってIoT端末を作ったり電子工作を楽しむための入門書です。本書ではArduino開発環境をパソコンにインストールする手順から、プログラムでLEDを点滅させたり、温度センサで温度を測ったりと、簡単なものから少し高度なものまでステップ・バイ・ステップで説明していきます。説明はM5Stackとセンサのつなぎ方からプログラムのソースコードまでをカバーしていて、本書に沿って開発を進めることで基本的なIoT端末の作り方を理解できるようになっています。

例えば、第4章では温湿度センサで熱中症の危険度を計算し、それをLEDで伝えるデバイスの作り方を説明しています。

熱中症の危険度を知らせるデバイス

非接触温度センサは、最近では、体温を測るためにいろいろなところで目にするようになりました。第5章ではこの非接触温度センサを使い、離れたものの温度を測ってM5Stackの液晶画面に表示するデバイスを作っています。

非接触温度センサ

M5StackはWi-FiとBluetoothで通信できます。第6章ではM5StackをWi-Fiにつなぎ、温度・湿度をIoTデータ可視化サービスAmbientに送信して、データを見える化する簡単なIoTシステムを作っています。

さらに、M5Stackを2台使い、1台のM5Stackで温度・湿度データを測定してBluetoothで送信し、もう1台のM5Stackでそれを受信し、Wi-Fi経由でAmbientに送信するシステムも作ります。

BLEゲートウェイ

IoTシステムは、こうやれば成果が出るといった定番の施策があるわけではありません。現場の課題に合わせて、試行錯誤を繰り返してよりよい施策を見出していきます。そのためには課題を解決するアイデアを出し、アイデアを形にするプロトタイプを作り、実際に動かしてアイデアがうまくいくか検証していく必要があります。M5Stackはアイデアを素早く形にするのに適したマイコン端末です。本書を片手に、みなさんもIoT端末の開発を始めてみませんか?

みんなのM5Stack入門

著者:下島健彦さん

NECで組込みシステム向けリアルタイムOSの開発、米スタンフォード大学コンピュータサイエンス学科への留学を経て、インターネットプロバイダ事業BIGLOBEの立ち上げからメディア事業を担当。2015年ごろから個人でIoTデーター可視化サービス「Ambient」を開発、運営。現在は、アンビエントデーター株式会社代表取締役。日本のM5Stackユーザーグループ主催。趣味は茶の湯とパスタ料理。
著書「IoT開発スタートブック」「みんなのM5Stack入門

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